欧州で「環境型エンジン」として注目されているディーゼル。日本ではトラックやバスなどの大型車に搭載されるケースがほとんどだが、次世代のクリーンディーゼル開発に積極的なのがマツダだ。これまで大型車限定だった「尿素SCR(選択触媒還元方式)システム」と呼ばれる技術を乗用車に採用した新型SUV(スポーツ用多目的車)「CX-7」が10月に欧州で発売され、デビューする。
■排ガスに尿素を直噴
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて燃費が良く、二酸化炭素(CO2)排出量も少ないというメリットがあり、欧州では「環境型」エンジンとして認知されている。半面、排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)やPM(スス)が多いというデメリットもある。
この排ガスをクリーンにするのが、尿素SCRシステムだ。排ガス中に尿素水を噴射し、化学反応によってNOx(窒素酸化物)を低減する。燃費や出力に影響が及ばない優れた浄化技術だが、尿素水をためておくタンクや専用の装置が必要となるため、これまではスペースに余裕のあるトラックやバスなどの大型車での採用が主流だった。国内では日産ディーゼル工業と三菱ふそうがトラックに採用しているだけだ。
■小型化で乗用車に搭載
マツダは、ガソリン車に匹敵する環境性能と出力性能を兼ね備えた新型クリーンディーゼルエンジン「MZR-CD2・2」を開発。独自開発した世界初の触媒活性メカニズムを持つフィルターを採用し、ススの処理に必要な燃料を大幅に節約しただけでなく、NOx排出量も減らした。
このエンジンと尿素SCRシステムを組み合わせることで、NOxの浄化に必要な尿素水の量を大幅に減らすことに成功。尿素水タンクの容量をはじめ、システム全体のサイズを小型化し、スペースの少ない乗用四輪駆動車にも搭載できるようにした。同様のシステムを乗用車に採用しているのは、これまで独ダイムラーだけだった。
マツダは、車体の中央部にSCRのコントロールユニットとコンバーター、インジェクターを、後部に尿素タンクを配置。効率的で、車体のデザインに影響を与えないよう配慮している。マツダ関係者は「パワーを減らすことなく、NOxの削減をすることとができた」と胸を張る。
■ディーゼルがDNA
乗用車用ディーゼルエンジン技術は、マツダのDNAともいえる。平成19年3月に策定した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」に基づき、環境・安全技術の開発に注力。尿素を使う技術も17年から、マツダ技術研究所(広島県府中町)で開発を進めてきた。触媒活性メカニズムを持つフィルター技術を開発した同研究所の5人の研究員は21年3月に、日本化学会から「化学技術賞」を受賞した。
排ガスのクリーン化でも、20年度に、発売車種に占める超低排ガスの「SU-LEV認定車」の割合が、国内自動車メーカートップレベルの95・9%に達した。
マツダは2020年の自動車市場について、ハイブリッド車と電気自動車を合わせたシェアより、ガソリンやディーゼルの内燃機関エンジンの方が依然として高いと予測する。
「すべての動力の基本となるエンジンの徹底的な効率化が必要」(羽山信宏専務)と、経営資源を集中し、環境性能のさらなる向上に全力で取り組む構えだ。
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